これはまた一段と渋いアルバムが届いたものだ。Kurt Vileの『Smoke Ring For My Halo』という作品は、今のインディー勢に散見される、ローファイポップからはかけ離れている。お父さん世代が好みそうなフォークやブルース等の延長線上にあるとも言えそうなものだ。ではそのカート・ヴァイルとはどのような人物なのだろうか。
カート・ヴァイルは米フィラデルフィア出身のシンガー・ソングライターである。父親は熱狂的なブルーグラス・ファンらしく、ギターやキーボード、トランペット等数多くの楽器を扱えるそうだ。以前はWar On Drugsというバンドに所属し、名門マタドールと契約した。今作は彼のソロ4作目にあたる。
今作は幻想的かつフォーキーなサウンドが特徴的で、中にはブルース・スプリングスティーンのようなロックナンバーまで幅広く彼のルーツが伺える作品という印象を受けた。彼のサウンドからは、再結成後のKula Shakerを彷彿させる。フォーキーなナンバーは『strange folk』、トランペットやバンジョー等の様々な楽器を使っている所からは『Pilgrim’s Progress』を思い出してしまうからだ。両者が結び付くのは、今の時代他の誰もがやっていないサウンドを追求しているからだろう。両者とも現在のシーンに関係なく、孤高の高みを目指している点が一致する思う。だからこそ、かつて同じく独自の表現を磨いてきたキム・ゴードンやJ・マスシス等の大御所がこぞって絶賛するのだろう。
(Kurt Vile – “Jesus Fever” official video)
(kula shaker – fool that i am)
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