旧譜を中心に紹介していこうと思ったのですが、最近の新譜にも60年代風の面白い作品があったので紹介します。
今作はそんな彼らの2ndアルバムであり、60年代サーフ調の甘いポップミュージックで聴き手をノスタルジックな気分にさせてくれるような作品だ。彼らはドラムスやベストコーストを筆頭に出てきたサーフポップリバイバルバンドとも言えそうだが、それらのバンドと違うのはオールディーズ風の味付けがあることだ。個人的に聴いてて思い浮かんだのが、ダスティ・スプリングフィールドの『Dusty In Memphis』やダフィーの『Rockferry』辺りで、バーナード・バトラーとかがプロデューサーかと思いきや、手掛けたのはブラック・キーズのパトリック・カーニーだそうだ。ブラックキーズと言えば、グラミー賞を取った2ピースのゴリゴリのガレージロックバンドのはずだが、インタビューでAlainaが語っていることろによると意外に良い組み合わせだったらしく、「彼らの音楽スタイルは私達がインスパイアされてきた音楽と同じところから生まれている」とあった。Tennisは以前にThe ZombiesやBrenda Leeといったアーティストのカバーをしていたそうで、60年代の音楽に造詣が深いのだろうと思われる。確かにブラッキ・キーズも60年代風の荒々しいガレージロックをやっているし、Sonics等のバンドを好んで聴きそうだ。おそらく60年代の音楽という括りでパトリックと趣味が一致したのだろう。おまけにパートナーシップもバッチリだったようで、満足のいく形で制作することができたようである。その結果は作品にも現れており、古き良き音楽と思わせる点は前作から変わっておらず、良い意味でポップさが後退し、骨太な演奏で輪郭がハッキリとした作品になった。つまり彼らの良い部分はそのままに、よりバンドサウンドが前面に出たものを作り上げた。お互いの良い部分を引き出しあった結果生まれた素晴らしい作品である。
(Dusty Springfield – You Don’t Have To Say You Love)
(The Black Keys – Lonely Boy)
(Tennis – Origins (OFFICIAL VIDEO))
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