【合同企画Vol.3】上半期ベスト10~後編:90’sの胎動


どうも♪yaboriです♪

前回の記事はいかがだったでしょうか!?

今回は前回紹介出来なかった上半期ベスト10を選出した理由を発表しようかと思います。
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1.Yuck – Yuck

Yuck
Fat Possum Records
発売日:2011-02-15


ダニエルブラムバーグは劇的なカムバックを果たした。

しかも有り余る初期衝動を持って。

かつてダニエルブラムバーグ率いるCajun Dance Partyは『恐るべき子供たち』と言われ、一世を風靡した。

そんなダニエルが再び90年代のオルタナ色の強い楽曲を持って僕らの元に戻ってきてくれたのだ。

もうその時点ですでに感涙ものなのだが(笑)、如何せん彼らの楽曲、特にソングライティングは素晴らしかった。
 

クオリティの高い楽曲にメリハリの効いたサウンドで最初から最後までだれることなく聴ける文句なく素晴らしいアルバムだった。
今年の上半期もっともソングライティングに秀でたバンドだったと思うので、迷いなく1位。


2.Toro Y Moi – Underneath The Pine

Toro Y Moi
Carpark Records
発売日:2011-03-08


僕は昨年発売されたMGMTの2ndは今でもよく聴いており、多分今年の上半期一番聴いたアルバムは実はMGMTの2ndだっただろう。

あえてここでMGMTの名前を出したのは、Toro Y Moiが今年の上半期でMGMTに最も近い音楽的嗜好を持っていたからだ。

どういう事かと言うと、 両者の音楽はジャンルでは語れないほど多彩な音楽を鳴らしている。

Toro Y MoiのUnderneath The Pineと言う作品は大まかなジャンル分けで言うと、チルウェイブに属するのだが、そんな言葉では表現できないほど雑多な音楽が根付いている。

モンチコンと言うブログでは、彼の音楽の事をチルソウルと言っている通りに、彼の音楽にはソウルなどの黒人音楽が根付いている。

そして今作が最高なのは、そんなチルソウルという概念をも覆してしまう、ネオアコ調のBefore I’m Doneという曲があることだ。

(Toro y Moi – Before I’m Done)


思うにこの作品はもはやToro Y Moiをチルウェイブと言う概念では語りきれないほどの、型にはまらない音楽を生み出していると思う。

それはまさにMGMTがサイケやポップという言葉では語りきれないのと同じように。

つまり型にはまらない音楽を作っているという意味で、MGMTの2ndと同じ要素があると思う。

それくらいToro Y Moi の新作はインパクトがあった。


3.The Strokes – Angles

Strokes
RCA
発売日:2011-04-05


この上半期で恐らく最も極端に評価の分かれた作品だろう。

ある人はこんなのストロークスじゃないと否定し、ある人はこれこそあの1stに続く作品であると言うほど評価の分かれた作品だった。

僕はこの作品を3位にした理由を説明する前に、前回ブログに書いたことを一部撤回しないといけない。

それは圧倒的な完成度という部分だ。

よくよく聴きなおしてみると、全曲捨て曲ないというほど全編に渡ってクオリティが高い訳ではないと感じた。
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正直クオリティだけを取るなら、前回紹介したジュリアンのソロの方が断然クオリティが高いと思うからだ。

そしてこの作品を3位に挙げたのはストロークスのミュージシャンとしての姿勢を評価しているからである。

彼らは3rdまでジュリアン・カサブランカスがメインでソングライティングを担当していたが、今作はそうではない。

今作はメンバー全員がメインのソングライターであるという自覚を持って、ほぼジュリアン抜きで作り上げた作品だと言う。

もはやベテランの域に達しようと言うバンドが、全員ソングライターの意識を持って作品をつくろうとしているバンドなんて一体いくらいるだろうか?

この時期から守りに入るベテランバンドが多い中、メインのソングライターに頼らない前向きな彼らの姿勢は評価すべきだと思う。

マチュピチュなんて曲は恐らくそうした所から生まれてきた曲だと思うし、ジュリアン抜きでストロークスの音を鳴らした、この作品を作り出した事は大きな意味があるように思う。


4.Arctic Monkeys – Suck It And See

アークティック・モンキーズ
ホステス
発売日:2011-06-01

今までの隠し味だったはずのポップネスを前面に出たアルバムが今作だ。
 

先行シングルが3rdと変わらない感じだったので、あまり期待はせずに買ったものの見事に予想を裏切ってくれた。

個人的にも今までの作品の中で、彼らのポップな作風の曲は好きだったので、今作は大歓迎だった。

しかし聴くにつれてすぐに飽きるような物足りなさを感じていた。

贅沢な話ではあるが、結局は2ndくらいのポップネスがアクセントになるくらいの配置がベストだったのかなと思う。
決して悪いアルバムではないが、単純に僕が時おり鳴らされるポップネスが好きだったと言うだけだろう。
ただいい意味で期待を裏切ってくれたことは、今年の上半期の最高のニュースの一つであった。

5.The Naked Hearts – Mass Hysteria

ザ・ネイキッド・ハーツ
バウンディ
発売日:2010-12-01


今年の上半期のトレンドだと思われる90年代の音をストレートに鳴らしたバンド。

グランジロックを鳴らしながらも、ダーティにならないという稀有なサウンドを鳴らした存在だと思う。

つまりこのバンドには初期ソニックユースやニルヴァーナの再解釈を現代に提示したクールさがあった。
そして何よりボーカリストであるエイミーの歌唱力がその辺のインディーバンドレベルではなかった。
今年の上半期で最高にクールな音を鳴らした二人組ということは間違いないだろう。

6.Miles Kane – Colour of The Trap
Miles Kane
Columbia Europe
発売日:2011-05-10

マイルズケインのことはラスカルズやラストシャドウパペッツで知ってはいたが、ここまで良質なアルバムを作るとは正直思ってなかった。
サウンド面で単純に比較してしまうと4位に挙げたアクモンの新譜よりも断然サイケ調のこっちの方が良いと思う。
シンプルなUKロックを基調としながらも、サイケ、ブルース、ポップ等幅の広いサウンドと多彩なボーカルアレンジも光っていた渾身の作品だった。
ソングライティングも抜群で、yuckと共にUKロックの復活を期待せざるをえないほど素晴らしかった。


7.The Raveonettes – Raven In The Grave
Raveonettes
Vice
発売日:2011-04-05
今年の上半期はシューゲイザー勢がこぞって素晴らしいアルバムを出したのだが、その中でもこのRaveonettesが一番僕の心をつかんだ作品だった。
ジーザス&メアリーチェイン直系のノイズを鳴らしながらも、ソニックユースを思わせるざらついたサウンドと、MGMTの1stを思わせるようなサイケデリアの奇跡の出会いがあった。
つまり名も知らぬスウェーデンのシューゲイザーバンドの蓋を開けてみると、自分の好きなバンドを彷彿させるサウンドで溢れかえっていたのだ。
シューゲイザーにUSインディーを思わせるサイケデリアを組み込んだ、夢のような一枚だった。


8.Wild Honey – Epic Handshakes And A Bear Hug

WILD HONEY
Flake Sounds
発売日:2011-05-18

この作品に出会った時、僕はサーストンムーアとフレンドリーファイヤーズの新譜を買おうとしていた。

そんなときに偶然見つけたのが、この作品だった。

この作品を試聴して、買うつもりだった2つのアルバムを買うのを止めたほど、この作品は魅力的だった。

この作品はスフィアンスティーブンスと、ヴァンパイアウィークエンドのいいとこ取りをしたような極上の心地よさがある。

フレンドリーファイヤーズの新譜はとりあえず凄かったけど、今聴く気分にはなれず、サーストンの新譜は新鮮な驚きがないように思えたまさにその時、このアルバムに出合ったのだった。

このアルバムのサウンドは今聴きたいと思っていた、心地よさとローファイさの両立を果たした妙手のようなアルバムだった。

9.Metronomy – The English Riviera
メトロノミー
ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2011-04-20
鳥の鳴き声で始まる、リゾート感のあるレイドバックしたサウンドが楽しめた本作。
今作でイーグルスやフリートウッドマックを引用する事によって、エレクトロというレッテルを引き剥がしたのは興味深い変化だと思う。
ただこのアルバムが凄いのはそれだけではなかった。
The lookという曲ではオルガンが用いられており、これはただ単純に西海岸系のサウンドのオマージュとして作った作品ではないという姿勢を示しているように思えた。
実際にメンバーのベンガは今作のサウンドを形容すると、『ダフトパンクmeetsイーグルス』だと言う。
このジャンルで括られないような、いや立つ瀬のないサウンドはこの上半期に新鮮に響いた。

10.Bertoia – Modern Synthesis
Bertoia
インディペンデントレーベル
発売日:2011-04-13
東京発のシューゲイザーバンドで、恐らくこの上半期で最もツイッターで話題になったのはこのBertoiaだろう。
僕がこのバンドを実際知ったのもツイッターだった。
このバンドが最高の魅力ないしマジックはスウェディッシュポップ×シューゲイザーと形容できるサウンドを日本という地で生み出したということだろう。
洋楽でも聴いたことのないようなサウンドを日本で生み出したという事は、どういう背景があったのか不思議で仕方なかった。
それくらい興味を引き立てられるバンドだった。
今でも日本で生まれたサウンドであるという事実がにわかに信じがたい作品。

最後に今年買ったアルバムを挙げておく(以下のランキングは決めていません汗)。
 
THE PAINS OF BEING PURE AT HEART、スミスウェスタンズ、ベルベットデイブンポート、シーポニー、タイニーマイクロフォン、サーストンムーア、ハイラマズ、ベーカーブラザーズ、死ぬまで生きるもんズ、武藤昭平×ウエノコウジ、ノーキーズ、キリングボーイ、シガベッツ、salyu×salyu
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ランキングを振り返って、今年のトレンドを挙げられるとしたら、90年代への回帰ということだろうか。

Yuckはダイナソーjr.等のバンドを彷彿させ、Naked Heartsはソニックユースやニルヴァーナ等のバンドからの影響を公言し、日本発のシューゲイザーバンドであるBertoiaはペイルセインツやLushとこれまた90年代のバンドからの影響を認めている。

この90年代への回帰という事はBertoiaのメンバーの方のインタビューでも語られていることだ。

今年は90年代から数えて丸20年になる。

インタビューでは20年周期でクラッシックになると言われていた通り、プライマルスクリームが20周年記念のアイテムを発売する等、90年代への注目が集まっていた。

そのせいか今年の上半期は90sリバイバルの始まりのような気がしている。

いやただの気のせいでは片付けられないほど裏付けがあるから恐らくもうリバイバルは始まっているのだろう。
 
実際Naked Heartsが出てきたブルックリンのアンダーグラウンドシーンには、90年代の音を鳴らすバンドがひしめき合っているらしい。
 
なので少なくともアンダーグラウンドではリバイバルは始まっているのだろう。
 
それを反映してか今回の上半期のランキングにも90年代の音を鳴らすバンドが多かった。

そしてもう一つ、今回のランキングには意図してインディーズバンドが多くランキングに入っている。
 
実際この上半期はメジャーアーティストよりもしばしばインディーズの方がいい音を鳴らしていたケースも少なくなかった。
 
それはNaked HeartsやWild honey等がそのいい例だろう。
 
ツイッター経由で知ったことだが、MoorWorksやCOCOHEART等のインディーズレーベルからは良質なアーティストが出ているという事実も見逃せない。
 
以上このランキングは90年代とインディーズというキーワードで多くが括れるランキングになったかと思う。

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“【合同企画Vol.3】上半期ベスト10~後編:90’sの胎動” への2件のフィードバック

  1. 新譜聴いてなさ過ぎでしょ。これでシーンがどうとか語ってたとか凄いですね。

  2. >新譜聴いてなさ過ぎでしょ。これでシーンがどうとか語ってたとか凄いですね。

    そうですね。仰る通りだと思います。

    次は身の丈に合った企画にします。

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