どうも! yaboriです。
地震があってからというもの、ツイッター上などでもみんな発言に慎重になったというか気を遣って発言していました。
何か不用意につぶやくと不謹慎と言われる雰囲気もありました。
この作品を紹介するのはそんな状況の中で、言葉の重みや歌詞というものを改めて人に多大なる影響を与えるものだと思ったことから今こそこの作品を紹介しようと思いました。
今回紹介するのはASIAN KUNG-FU GENERATIONのマジックディスクです。
Table of Contents
マジックディスク
この作品はアジカンの6枚目のアルバムに当たり、今までのアジカンの集大成であり、ネクストレベルにまで踏み出したものである。
“守るべき形などない それはいつか消えうせて”
これはマジックディスクの歌詞である。
今作の歌詞から伺えるのはアジカンはベテランバンドでありながら、変化を希求しているということだ。
具体的に僕が今回変化したと思うのは歌詞の世界観の深化とサウンドの広がりの二つだと思っている。
歌詞の世界観の深化
まず歌詞だが、歌詞の深みが過去最高レベルで、ボーカルの後藤正文(以下ゴッチ)の歌詞のキレというか言葉選びに磨きがかかっている。
その言葉選びの中でも特に注目すべきは今まで内省的だった歌詞から、外の世界ないしは自分を取り巻く環境に目を向けるようになったことである。
この作品ではその変化を告げるように『あなた』と『終わり』が象徴的に語られている。
『あなた』とはアジカンが今まで語っていた君以上に範囲の広い存在を指し、かつそれが大切な存在である事を意味しているように思う。
君とはアジカンを取り巻く存在で、自分を支えてくれる人らやファンであった。
そんな人らに向けて作詞をしていたのだ。
しかしそれら以外の人達も大切な存在であるという事にゴッチは気づいたのだろう。
今作には今まで出て来なかったキャスターや傷ついた兵士や物乞いの坊や等の歌詞が出てきている。
つまり今まで関係がないと思っていたものにも目を向けるようになったという価値観の変化ないしは視点の切り替わりがはっきりと分かる。
『終わり』とは過去の自分との決別というか清算であるように思う。
セカンドフライを上手に捕ったとしてそれで今も抱えている後悔はなくなるのかな
という歌詞やさよならロストジェネレーションというタイトル等、自分達を今まで留めていたものに終わりを告げるものになっている。
それは言いかえれば、今まで歌われてきた内省的なものを終わらそうとしているのだ。
それらのものに終わりを告げたうえで、彼らは外の世界にも目を向けていこうと思うようになったのではないかと思う。
ゴッチの視点は確かに切り替わったのだ。
サウンドの広がり
次にサウンドの広がりに関して、今までのアジカンだとギター主体のロックにエモ―ショナルなボーカルを載せて歌うというものであった。
しかし今作では今までのスタイルを踏襲しつつ、ブラスバンドやパーカッション等の導入があり、サウンドの広がりが伺える。
新世紀のラブソングでは浮遊感のあるギターを聴かせ、一曲目からサウンドの広がりを感じさせる。
ASIAN KUNG-FU GENERATION – 新世紀のラブソング
マジックディスクは君繋ぎやソルファを思い出させるような、疾走感のあるサウンドを鳴らしている。
ただ以前と違うのはコーラスを巧みに使い、音に厚みを持たせている。
迷子犬と雨のビートではブラスバンドと一緒に演奏し、アジカンの曲に華やかさをプラスしている。
ラストダンスは悲しみを乗せてではパーカッションを導入し、ダンス要素を演出している。
変化を希求し、歌詞にもサウンドにも新たな地平というものを確かに刻んだ今作はアジカンのキャリアに置いての傑作なのは間違いない。
それ以上にJ-Rockという括りに置いても名盤としてこれから語られるであろう作品だ。
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