そして彼らはいつもArctic Monkeysの二番煎じのように思われて来たが、今作にはそんな間違った思い込みを蹴飛ばす、勢いのある快作を出してきた。
今作を一言で言えば、ルークの声を最も輝かすべく制作されたアルバムと言っても過言ではない。
ボーカルに焦点を当てた楽曲が多く、極めてポップであることと、実験的であることが両立している。
つまり今作は実験的であり、ポップという特徴がある。
それはかつてのビートルズの名盤、リボルバーを思い出さずにはいられない。
かのアルバムも実験的でありながら、ポップであった。
Kooksはリボリバーを引き合いに出せるほどの名盤を作り上げたのだ。
『Junk of the heart』ではシンセサイザーの導入とアコギの融合、
(The Kooks – Junk Of The Heart (Happy))
『Rosie』ではレゲエのリズムを取り入れる事と女性ボーカルのコーラス、
『Time Above The Earth』ではオーウェン・パレットを思わせるかのようなヴァイオリン等
僕がタイトルを『七色の楽器と声のアルバム』と置いたのは、このアルバムには様々な楽器が使われており、それら全ての楽器はルークの声を輝かせるために存在するという意味を込めている。
しかしただ革新的というだけではなく、『Taking Picture of you』では1stに戻ったかのような、アコギでの弾き語りも披露していることから、しっかりと前作で培ったものを咀嚼しているからこそ、実験的な部分との両立ができたのだろう。
そして何よりも素晴らしいのが、『Is It Me』でこの曲には近年のUKバンドの不在だった借りを一瞬にして、引き飛ばすような、爽快感のある曲だ。
(The Kooks – ‘Is It Me’ Lyric Video)
彼らは間違いなくこの作品で、Arctic Monkeysに勝るとも劣らないバンドであることが証明されるだろうし、
Kooksのキャリアの中でも屈指の名盤として時代を越えて聴かれ続けて欲しいアルバムである。
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