ベータ・ラヴ
アーティスト:ラ・ラ・ライオット
販売元:ホステス
(2013-01-09)
販売元:Amazon.co.jp
え、このジャケットってRA RA RIOTだったの?と疑いたくなるほど異様な雰囲気を醸し出している本作は、バンドとしての転機を迎えたアルバムである。彼らの1st「The Rhumb Line」で顕著だったオーガニックなサウンドが後退し、Hot Chipを思わせるエレクトロポップ路線に大きく舵取りした。彼らのキャッチーでポップなメロディーは健在であるが、初め想像とは違ったサウンドに驚かされる。
彼らはどうしてここまで大きな冒険をしたのだろうか?このアルバムを出す前後、メンバーはサウンドの事で相当悩んだそうだ。おそらくVampire WeekendやDirty Projectors等のロックに様々な国の音楽をぶつけては、新しいサウンドを生み出すアーティストが乱立する、New Yorkのインディーロックシーンでは、従来のサウンドだと勝負していけないと判断したのかもしれない。今までのサウンドを捨て電子楽器を前面に出している所に、彼らの変革への強い意志が感じられる。
一方でサウンドの方向転換を少しばかり、急ぎ過ぎたのではないだろうかと思わせる部分もある。例えばモダンなポップさを求めるあまり、ストリングスが影を潜めてしまっている。今までのバンドで鳴らす音とストリングスがうまい具合に融合しているサウンドが素晴らしかっただけに、この変化は少し惜しまれる。
彼らのサウンドは変わってしまった。しかし今作のジャケットは、「The Rhumb Line」を手掛けたデザイナーによるものだという。1stのジャケットを手掛けたデザイナーを起用したところを見ると、彼らは再び新しいスタートラインに立とうとしているのではないか。再スタートを切った彼らに、New Yorkのインディー・ロックシーンを掻き回して欲しい所だ。