今年でデビュー10周年を迎えるノラ・ジョーンズが、創作のパートナーとして迎えたのはなんとデンジャーマウスだった。彼とは以前『ローマ』という過去のイタリア映画のオマージュ的な作品を作り上げた時、共同で仕事をしていたことが起用に繋がったそうだ。しかし元々はBeckやゴリラズを手掛けたプロデューサーであって、彼と組むこと自体かなり大胆な決断だったと思う。それに比べて、以前レビューを書いたシェリル・クロウが大きな転機を迎えたときに選んだのは、デビュー作のプロデューサーだった。それを考えると、やはり今作の人選はかなり挑戦的な意味合いが強いのかもしれない。新しいロゴや今までなかったイラスト調のジャケットを使用していることは、デビューから10年経った今、イメージを一新させたいという強い思いが感じられる。実際にこのアルバムは今までとは全く異なるアプローチでレコーディングされたそうだ。今まではあらかじめ作った曲をバンドとレコーディングする手法だったそうだが、今作は何も準備せず一から作り上げたそうで、彼をよっぽど信頼していることが伺える。
今作は『リトル・ブロークン・ハーツ』というタイトルが示すとおり、自身の体験を赤裸々に告白するような内容だ。歌詞は内省的であるものの、オーガニックなサウンドからはノラのリラックスした雰囲気が伺え、特に憂鬱さは感じられない。むしろアルバム全体を包むアコースティックなサウンドには、アナログレコーディングの暖かみがあり、オールディーズのようなノスタルジックさすらある。そして特筆すべきは『After the fall』で披露されるノラの空気中に溶けていくような気高くも儚いボーカルだ。うまく声の特徴を引き出している所を見ると、今回のコラボレーションは異色ではあったが成功だったと思うし、彼女の好奇心旺盛な性格が全面に出ている素晴らしい作品だ。
【Norah Jones : Good Morning ( ‘Little Broken Hearts’ new album 2012)】
【Norah Jones – After The Fall】
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