ピンボールズの『ten bear(s)』は個人的な年間ベスト３位に選出した大傑作だった。そんなわけで次作はどのような方向性の作品かとても楽しみであった。結論から言えば本作のサウンドは初期の椿屋四重奏のような邦楽ロック寄りになり、よりタイトな演奏になった。前作にもあった聴き手の想像力を膨らませる歌詞は健在で、ミドルテンポの『SLOW TRAIN』やブルースギターが印象的な『カカオ』という曲もあり、表現力や疾走感は着実に成長していると感じられた。

しかし前作のようなブルース色の強いナンバーやバラードナンバー等幅広いサウンドを楽しめる作品ではなかった事が、進歩しているだけに惜しまれる。彼らのソングライティングの素晴らしさは改めて分かったので、来るべき1stフルアルバムに期待したい。