Belongという交信手段【Pains of Being Pure at Heart/Belong】


どうも!yaboriです!

今日は前回に引き続き、Pains of being pure at heart(以下ペインズ)の作品を紹介します。

前作が1stで、今作が2ndとなります。

この作品はツイッター上でも評価が高く、前回紹介したYUCKとも比較されることがしばしばあるバンドです。

Pains of Being Pure at Heart
Slumberland Records
発売日:2011-03-29

ペインズの2ndアルバムであるBelongは素晴らしい仕上がりのアルバムとなった。
Smashing Pumpkins(以下スマパン)やMy Bloody Valentine(以下マイブラ)等を目指すインディーバンドとしては理想的な2ndアルバムと言えるだろう。
サウンド面では彼らが共通のフェイバリットに挙げていた、スマパンの『サイアミーズドリーム』に迫る程の飛躍的な進歩を見せてくれる。

まさに『サイアミーズドリーム』がそうだったように、ハードなサウンドと繊細な心の動きを表す歌詞が共存する作品となった。

彼らの曲を聴き進めて行くうちに分かるのが、今作のジャケットが表しているように、カラフルな絵の具で幾重にも塗り固められた作品だという事である。

前作のいい意味でスカスカだった空間を埋めるように、スマパン譲りのハードなギターリフがあり、The Jesus and Mary Chainやマイブラ譲りの甘美なギターノイズ、ハンドクラップや鐘を使った効果音すらあり、カラフルなアイデアでサウンドを塗り重ねている。

そして最もカラフルで眩しいのが、ファーストから変わらないあの甘酸っぱいフィーリングがあることだ。

そして何よりも重要なのが、タイトルに込めた『ビロング』という意味である。

SNOOZER誌のインタビューで、ボーカルのキップ・ベルマンが語ることには、Belong(属する)ということについて、彼はどこにも属することなく、“アウトサイダー”であるという感覚を持っていたそうだ。

本国アメリカでごく普通の生活をしていながらも、聴いている音楽はパステルズ、Teenage Funclub等周りが聴いていない音楽を聴いていたそうだ。

だから彼は一見普通のように見えるけども、他人とは少しズレている音楽を聴いているという事に疎外感を感じ、自らをアウトサイダーだと語っていたのだ。

そのアウトサイダーであるという感覚は僕にもある。

僕の周りに洋楽を聴く人は本当に少なく、音楽の話題になると言えば、アイドルだのオリコンで上位を占めるポップグループだので、肩身の狭い思いをしていた。

洋楽が好きな人でアウトサイダーだなと感じたのは、おそらく僕だけではないだろう。

例えば僕はよくツイッターで自分と似た傾向の音楽を好む人をフォローしているのだが、そこでよく共感を得られる話の一つに「周りで洋楽聴く人なんてほとんどいませんよね」という話だ。

つまり洋楽の話をしたくてツイッターを始めた人は僕とキップ・ベルマン同様アウトサイダーという思いを少なからず味わったのではないだろうか?

ならばBelongとはアウトサイダーであるキップ・ベルマンが贈る、アウトサイダー同士を繋ぐ一種の交信手段ではないだろうか。

そうだとするととても範囲の狭く、濃密なコミュニケーションだ。

かつてASIAN KUNG-FU GENERATIONが歌った

“世界の端まで届く声より

君にだけ伝えたいだけ”

という『振動覚』という歌詞の一節を思わせるような範囲の狭いコミュニケーションだろう。

しかし「ペインズが好き」と会話を通じて、強い繋がりが生まれるような濃密さもある。

つまりこの作品の素晴らしい所は飛躍的なサウンドの変化以上に、アウトサイダー同士の交信手段としてこの上ないアルバムだと思うのだ。

【For Fans】
Smashing Pumpkins/YUCK/My Bloody Valentine/The Jesus and Mary Chain/ASIAN KUNG-FU GENERATION

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