僕はこのportisheadのdummyを聴くと、ほの暗い闇の中で囁くような芯から鳥肌が立つ感じがする。
【内容紹介】
ポーティスヘッド (Portishead) は、イギリス、ブリストルでボーカルのベス・ギボンズとコンポーサーのジェフ・バーロウの2人で1991年に結成。
後にギタリストのエイドリアン・アトリーが加わり現在に至る。
エイドリアンとジェフは1990年頃から二人で別のユニットとして音楽活動を行っていたが、
そのときに作られた音源は最終的にポーティスヘッドのアルバムに使用される形となる。
最初はジェフはホラー映画のサントラを作っていたそうだ。
もちろんそんなバックグラウンドを持つ彼らの最大の特徴はそのサウンドとボーカルにある。
まずそのサウンド。
portisheadの作りだす音楽は、トリップホップというジャンルで括られている。
トリップホップとはヒップホップから影響を受け発展した音楽であり、幅広い意味での電子音楽の総称。
現在はトリップホップとは言われずに、エレクトロニカという言葉になっている。
彼らのサウンドには、電子音楽が多用されており、スクラッチからもhiphopの影響をほのかに感じることもできる。
その中でも一番特徴的なのが、サウンドのバックボーンにホラー映画のサントラのようなものあり、暗くてじめじめした雰囲気を醸し出している点だ。
そんなダークなサウンドでありながらも、ポップさを兼ね備えているSour Timesという曲が素晴らしい出来だ。
(Portishead – Sour Times)
そしてそのサウンドとボーカルが絡み合った様は日本の幽霊を想起させる。
呟くような囁くようなボーカルの繊細さはほの暗い闇の中から呼ぶ声がするようでいて、
日本の幽霊のように暗いじめじめした所(サウンド)の中に潜むような様は、
足のない日本の幽霊のように浮遊感を感じさせてくれる。
そういう意味では電子音楽を用いたエレクトロニカではあるけれども、サイケデリックでもある。
ジャンルを交差した奥行きのある作品だ。
海外産のサウンドでありながらも、私たちに幽霊という日本古来のものを想起させてくれる。
暗い雰囲気を持つ作品ながら奥行きがあり、幽玄ささえ感じる傑作だ。
【関連するアーティスト】
日本のAJICOというバンドがportisheadに近いと思う。
AJICOはportisheadよりもオーガニックではあるが、雰囲気はよく似ている。
(AJICO – 深緑)
ちなみにAJICOにはこのバンドでもよく取り上げている浅井健一がギター、ボーカルとして参加している。